文系男子のその後。
何かに抱きつかれ、身動きが取れない。
それが入り口に立ってた高校生だと気づく。
「……ごめんなさい」
この人は、僕の大事な人なんです。
貴方が、何をされたか、分からないけど、
僕にはこの人が必要なんです。
それでも許せないなら、
先に僕を殺して下さい。
「お前は関係無い」
よくある、《先にわたし殺して》というワード。
読み手には、不安や感動を与えるが、長年の恨みつらみを蓄えて来た輩にとっては迷惑この上無い。
実際のところ、先に殺そうとして敵討ちを失敗する確率は高い。
俺は、高校生の背中を掴み、加藤に押し付けた。
涙を溜めた様に見えたのは、俺の視界が滲んでいる所為なのかもしれない。
抜き身の刀を文武両道と書かれた垂れ幕の掛かる壁に叩きつけ、礼もせずに道場を出る。
帰ろう。
自分の居場所に、帰ろう。
有希のところに、帰ろう。
誰かの大切な人を奪うなんて、少なくとも俺には絶対出来ない。