文系男子のその後。
「…紅鳶さんは?」
あの人加藤さんの幹部補佐でしょ?
降りるの?
「………まあ、ちょっと、色々あって」
珍しく歯切れが悪い。
そう言えばあの列に紅鳶さんは居なかった。
「なんで?海外に行くとか?」
「そうだな…うん、そんな感じ」
坂本はニコッと笑った。
「ふーん。まあ、また遊びに行くよ」
「おう………じゃねえよ、お前あんなトコ出入りしてたら近所の評判ダダ下がりだぞ」
「あとあたしが行くと生命が嫌がりそうだからね」
「最近あいつとどうよ」
致してる?
そう聞かれた瞬間、赤頭にゲンコツが落ちた。
ごつっと鈍い音がして、坂本の呻き声がする。
「…悪いな、真朱」
ウチの赤毛猿が粗相を。
「大丈夫ですよ」
声の主は加藤だった。
「卒業おめでとう、真朱」
「はは…どうもどうも」
笑えば加藤も笑った。
「…竹之内は?」
「今日仕事です」
「…そうか、…明日は」
「明日は…ちょっと」
「…デートだ」
坂本が眉間にシワを寄せ、あたしの考えを言い当てる。
「え…ちがっ、違うから!」
「デートだ。デートだろ。デートなんだろ?!良いよなあそーやって『有希(はぁと)』『いやん恥ずかしいわ、み・こ・と』とか言ってえ?大手振って2人で手え繋いじゃってさー」
言い終わらない内に、加藤の二回目の拳骨が入った。
「…すまんな、真朱」
「いえ、じゃ、そう言う訳ですので」
世間話もそこそこに、加藤は坂本を引き摺って連れて行った。
卒業生も在校生も保護者も皆長身と赤頭に目を奪われていた。