いとしのポテトボーイ
「安土クン、どこで何してるのかな」

わたしは、先輩に聞こえるような独り言を呟いた。

恋人の真希チャンにも行き先を告げずに、さっさとひとり帰ってしまう安土クン。

先輩はカップを拭く手を止めないままわたしを見た。

「授業が終わったらネ、バイバイも言わないで消えちゃうんだよ。ひとりで悲しんでいるとしたら、そんなの薄情だと思いませんか?」

わたしは、一度しか会ったことのない先輩に、グチみたいなことをボヤいてしまった。

「アイツ、等々力を捜してんだ」

「え?」

「南星は、等々力とやり合うつもりなんだよ」

「そんなッ・・・」

先輩の冷めた言い方が癪に障った。
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