必死こいて桜姫やってやんよ!
座っていた角度を変えて仰向けになり、真上の上弦の月に向かって手を伸ばす。
月はもちろん、星にさえ手は届かない。
…てゆーか星見えないけどね!
この辺明る過ぎて星見えないんだよね!
「black star~black star~ forever you will be~」
最近聞いた洋楽を口ずさむ。
「A shining star~shining star~Be whatever you can…ん?」
伸ばした手が闇に包まれた。
…と思ったら月も消えた。
…なぜなら、月にも勝る極上の顔があたしの真上にあったから。
お互いの唇まで数㎝。
やっぱり今日見た誰よりも綺麗。
どれだけ着飾ってもどれだけお金をかけても、完璧なるこの人には勝てない。
包まれたままの手を引っ張られて、いつの間にか回っていた彼の手が背中を浮かす。
どことなく怒っているような、雰囲気。