手の中にある奇跡
店に入ると周りのスタッフが社長を見て、黄色い声を出している。

確かに長身でモデル体型。顔もチラッとしか見てないけれど、中々のイケメン。色素の薄い髪の色は羨ましい。

私はさっきまでやっていた、仕事に取りかかった。

「春、薄着…露出…」
パソコンの画面に向かって、一人でぶつぶつ言いながら、次のイベントを考える。

「それは次のイベント?」

それは突然だった…
耳に唇が当たるんじゃないかと思うほど、吐息混じりの低い…声。

「――ッ!!」

ビックリし過ぎて、声も出ない。

「あ…驚かしてすまない。」

後ろを向くと社長が困惑顔で立っていた。

わざとじゃないのかと心の中で文句を言ってみた。「いえ…すみません、こちらこそ、大袈裟に…これは、来月のイベントを考えていた所です。」

「もう、決まっているのか?」

「…なんとなくまとまってきていますが、他のスタッフの意見も聞いて形にしてみようかと考えています。」

「君が決めるんじゃないのか?」

「いえ…だいたいの案は出しますが、こういう大きいイベントは皆の意見を聞きます。店作りは皆でするものですし…」

その言葉に社長が柔らかく笑った顔がすごく印象的だった…


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