あの日の僕は。



「母さん」


舌打ちが聞こえた。


「……何?」


海里母はゆっくりとこちらを向いた。


「昼メシは?」


海里なら、昼ご飯のことをきっとこう言うよな。


「勝手に食べなよ」


そう言い海里母は素早く元の向きに戻った。


へぇ。


勝手に食べていいのか。


セルフサービスっぽいな。


冷蔵庫を開けた。


「…………え」


なんということだ。


作り置きとか、そういうのが無い。


僕の家なら必ずあるのに。



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