不器用な愛を。【短】
「…――〜っ……」
鼻の奥がツンとするけど。
知らないふりして歩き続ける。
向かうのは海の家。
――…バタン
後ろの方から車のドアを閉める音がして。
聖斗が車に乗り込んだんだろうと、想像して胸が締め付けられる。
私はどんどん聖斗から離れていって。
だんだん海に近づいていく。
「〜ッ………」
海の家に着くまでには、
このぼやけた視界をハッキリさせよう。
まっすぐに海を見て伝えなきゃ。
迷いは見せちゃいけない。
私が間違っちゃいけないんだ。
もうこれ以上、海を傷つけちゃいけない。