俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~

許せない真実

翌日から

俺は廃人のようだった。




――無気力


やる気が出ない上
自分の存在価値ももう分からなくなっていた。


家から出る気にもならず

髭を剃るのも面倒くさい。


まぁ、もともとあんま生えないけど…


だけどさすがに4日目の夜、
親父に気付かれた。


「お前なんかあったのか?」


仕事帰りの親父はスーツをハンガーにかけながら


スウェットにボサボサ頭でリビングに座る俺を見て言った。


「………別に」


TVもつけずソファーに座る俺はただそれだけ言った。


「失恋でもしたのか?」


「……………」


うざぁ…

なんで分かるんだ?


俺は睨むように親父を見た。


「ん?図星か?ははは」


親父はネクタイも外すとTVをつけて冷蔵庫からビールを取り出した。


野球中継の音に辛気くさい部屋が僅かに活気づく。


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