俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~

カミングアウト

パラソルに戻ると
加奈子ちゃんがぽつんと待っていた。


あ――…やべ

今日は加奈子ちゃんを、完全にのけ者にしてしまった。


俺は得意のヘラヘラ顔で加奈子ちゃんに近付いた。


「ごめんね~暇だったっしょ?」


俺はなるべく加奈子ちゃんの目を見ずに笑った。


目を合わせたら

本当は笑えてないのがバレそうで。


「後でアイスクリーム奢ってあげるね」


俺はいつもの軽い感じで
加奈子ちゃんの隣に腰を下ろした。



「大丈夫だよ…」


そんな俺に加奈子ちゃんは小さな声で言った。


「ん?アイスいらねぇの?」


「そうじゃなくて…」


加奈子ちゃんは少し悩むように間をおいて続けた。


「ヒロキくん…無理しなくて大丈夫だよ。」


「…?」


「無理に笑わなくていいよ」


「………」


加奈子ちゃん…?

なに言ってんだ?



俺が加奈子ちゃんを見ると、
加奈子ちゃんは泣きそうな顔をしていた。


「私ヒロキ君の気持ち分かるから。もう笑わないで…」


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