俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
「…………」


俺の問いに加奈子はぷるぷると首をふった。


「そうじゃなくて…私が勝手に自信がなくて。ごめんね」


「…………」


変に明るい声の加奈子は


その声のトーンとは反対に膝を抱え込む腕に力を込めた。


「私ってすごく矛盾してるの。自分から愛子のことヒロキに相談したくせに…」


「うん?」


「ほんとは…相談しながらなぜかちょっと悲しかったの」


「え………?」


加奈子は膝に頭をつけて表情を隠してしまった。


「愛子が本当に心配だったし…だけど本当はヒロキに良い子に見られたかっただけなのかも」


「…………」


「それになんか今はヒロキが愛子を気にしなくてなんだかホッとしてる自分もいて…。矛盾しすぎだよね」


「…………」


「こんな風に感じる自分最低だなって…なんか今急に自分が嫌になっちゃった。ごめん」


「…………」


俺は

加奈子の言葉を聞きながら

そんな加奈子の気持ちがなぜか痛いほどにわかった。


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