俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
「まぁ愛子ちゃんのことは春馬が気付いて何とかすんじゃねぇかな?」


実際、愛子ちゃんを助けるならそれは俺の役目じゃなくて春馬がやることだ。


俺は加奈子を励ますように、

後ろから加奈子の顔を覗きこんだ。


「それより…俺は加奈子のが心配なんだけど。加奈子はなんもされてねぇの?」


加奈子は俺の反応に少し驚いたような顔をしてから


少し頬を赤くした。


「私は…大丈夫だよ。多少陰口言われたりするけど大したことない。」


「ほんとに?絶対?」


心配する俺に加奈子は苦笑いしながら頷いた。


そして少し考えるようにしてから―――…


加奈子は遠慮がちにこんなことを言いだした。



「なんだか不謹慎かもしれないけど…」


「ん?」


「ちょっと…嬉しいな」


「んん?なにが?」


「ヒロキが…愛子より私を心配してくれて」


「え?」


「………」


加奈子は伸ばしていた素足を曲げて、きゅっと胸の前で抱え込んだ。


「え?なにそれ」


「ん…自分でもうまく説明できないやぁ」


「…………」


へへへと笑う加奈子が


どこか少し無理してるように見えて俺は不安になった。


「うまく説明できなくても気持ち聞かせてよ?」


「…………」


「俺のことまだ信用してねぇの?」


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