俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
春馬は今、俺と同じ地元の公立の進学校に通っているけど


本当は別の私立に進学する予定だった。


その私立は完全寮生、さらに地元からはかなり遠かった。



俺は冗談半分で言った。


「一緒の高校行きてぇよ」


冗談半分で言ったのは、無理な願いだとわかっていたから。


春馬と俺は全てが違いすぎる。


だけど無理だとわかっていても言ってしまったのは


それが本音だったから。


春馬と離れたくない。


でも、諦めていた。


ところが


春馬は突然、親に反抗して地元の高校に行くと言ったのだ。


当たり前だが春馬の親はキレた。


中学も私立じゃなく公立を選んだ春馬。


春馬は私立の中学受験で、俺と同じ公立に行くために


わざと回答用紙に名前を書かなかったのだ。


春馬の親父はキレるとかなり怖い。


「無理すんなよ…」


思わず俺は春馬に言った。


春馬と同じ高校に行けたらマジで嬉しい。


だけど、春馬が反抗してくれただけでも充分嬉しかった。


そんな俺に春馬は言った。


「勉強はどこでも出来るけど、ヒロキはここにしかいねぇから」


< 206 / 280 >

この作品をシェア

pagetop