俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
「王子様でも妬くんだなぁ」


俺がニヤニヤ春馬を見ると


春馬はいかにも俺がウザいという視線を向けてきた。


「別にどうでもいい。今さら関係ねぇし」



しかし


その言葉とは裏腹に春馬は3年になってから一人で授業をふける回数が増えた。


いつもは俺と一緒にふける春馬。


そんな春馬が一人でふけた後には必ずと言っていいほど


愛子ちゃんの細い首に赤い跡がついていた。


キスマークなんて今までつける奴じゃなかったのに。


俺とは違う人種だと思っていた春馬も案外、俺と似たとこがあるんだな。


そう思うと俺は秘かに嬉しかった。




だけど


春馬が束縛心を見せるようになったのは、単にクラスが離れたせいだけじゃなかった。


後日、俺は春馬から


卒業したら海外に行く、と聞かされた。



しかも、何年も。


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