俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
「たとえA南に落ちて他に受かっても。多分俺は浪人してまたA南受けると思うんスよね」
なのにわざわざ高い受験料を払ってまで
行く気のない他大学を受験する意味があるのか。
それが通例だから?
皆がそうするから?
試験の雰囲気に慣れるように、本命の試験に受かるための試し受験?
担任や講師に何を言われても、俺にはどうしてもそれらが無意味に思えていた。
そんな俺にオッサン教官は腕組みをしながら首を傾げた。
「そもそも…お前がそこまでA南にこだわってんのはなんでだ?」
「……は?」
耳をほじるオッサン教官に俺は思わず眉を寄せた。
今さら何を聞いてくんだよ。
あの夏に、オッサン教官に勇気つけられたから俺はここまでやって来れたのに。
「それは彼女が…」
即答した俺に、オッサン教官は待ったをかけた。
そしてオッサン教官は俺をじろりと見る。