俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
俺は携帯をパチンと閉じると
瞳を閉じた


なぜか今…


思い出すのは愛子ちゃんよりも加奈子ちゃんだった。


その事実にも少し驚く。


海からの帰り道―…


加奈子ちゃんは告白について
あれ以上なにも語らなかった。


まるで、なにもなかったような態度をとる加奈子ちゃん


そんな加奈子ちゃんに俺も何も言えず…


つ―か疲れて半分以上は寝てしまってたりで。


結局あやふやなまま
加奈子ちゃんとは別れてきた。


「………」


加奈子ちゃんは今、何をどんな風に想ってるのか


加奈子ちゃんの突然のカミングアウト。


突然の…だけど

別に冷静に考えたら驚く内容じゃないはずだった。


加奈子ちゃんが寂しいとか、
劣等感を感じる気持ち


加奈子ちゃんの立ち位置を少しでも見ていれば

きっと気付くはずだった。


気付いてあげなきゃいけなかった。


だけど、俺たちはそのくらい
加奈子ちゃんの気持ちを気にしてこなかった。


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