俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
「……んなの要るか?」


だ~~

コイツは…!!


俺は春馬の手に無理やり第二ボタンを握らせる。


「お前ってほんッと分かってね~な?!」


「はあ?」


「良いから愛子ちゃんに渡せって!!ゼッテ~喜ぶから!」


「……………」


俺の力説に、遂に春馬はめんどくさそうにボタンをポケットに突っ込んだ。


よしよし、それで良い。














「じゃ、そろそろ時間ねぇから行くわ」


ボタンがなくなった制服を着ながら春馬が時計を見た。


「お~」


俺はいよいよ迫る別れの寂しさを隠しながら言う。


「じゃーな」


そんな俺に春馬は容赦なくスタスタと歩き出した。


――え?


「ちょちょっ!待てよ!」


俺は思わず春馬の肩を掴む。


「あん?」


あん?って…


振り返る春馬に俺は言葉を詰まらせた。


だって、これでもうお別れだぞ?


空港には行かない。



これで本当に春馬と離れてしまうのに…




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