あいつに逢いたい
莉緒が手を出すと、子猫は少しびくついて後ろへ下がった。


でも、差し出しておくと、慣れたのか莉緒の手をなめ始めた。


「かっわぃーー」


莉緒は子猫を一回抱き上げて、お別れした。


子猫は素早く近くの塀へ上り、どこかへ行ってしまった。


それを見届けてから、莉緒は家の中へ入っていった。


―まみ―

ケータイを見ると、まみからメールが着ていた。


「またやん!」


《りーお♥ 今、香織らぁおるんやけど来る?》


香織というのは、莉緒とまみの中学生の時の友だちだ。


莉緒は今日は用事はなかったけど、なんとなく遊ぶ気分じゃなくて、まみの誘いを断った。


冷凍庫から、うどんを取り出し、作っていく。


料理は得意じゃないけど、好きだった。

食べ終えると、部屋に戻り、ベットに横になった。


「ひーまぁーやぁぁーー」



ケータイで友達のHPに行ったりしながら、暇つぶしをしていた。



それでもやっぱり、暇になり、漫画を読むことにした。



「うーーん・・・何読もう・・・?」


迷う莉緒。

でもいつものことだった。


だって、ここにある漫画はもうすべて莉緒は一回は読んでいるからだ。



「あーーーコレは昨日読んだし・・・どれにしようかぁぁ・・・」



どれを読むか決めれなく、莉緒は最終手段にでた。



「んじゃぁっと!! どれにしようかな天の神様の言うた通り 鉄砲うって バンバンバンのバンバンバン!! っしゃぁ これだ!」


指をさしたのは、「サルヤマッ!」の4巻。


途中やけど、4巻から読み始めた。


だけど莉緒は、漫画を読むのが遅い。



漫画だけではなく、


本を読むこと


ご飯を食べること



100メートル競走



起きること



友だちができること



なんだって遅かった。





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