ONLOOKER Ⅱ


「どう?」
「アダムス社……これか」


しばらく無言でキーボードを叩いていた夏生が、ぼそりと呟いた。

適当な単語を入力し、検索結果に上がったページを無造作に選んで開く。
非公式のインターネットサイトなどならば、公にはしていない情報も得ることができるかと検討をつけたのたが、そう上手くもいかないようだった。


「たった一代で国を代表するほどまでに伸し上がった、イギリスの文房具メーカー。社長の名前はウイリー・ミハエル・アダムス……サイドビジネスとして雑貨輸入、食料品、衣料品など……」


表示されたページを読み上げる口を止めて、夏生は言った。


「……たいした噂はないですね」
「やっぱりそうか……」


根拠もわからないような噂話や、下らないスキャンダルの類いなら、いくらでも溢れている。
だが「中国」「マフィア」「BTS」などといった単語で探しても、彼らの望むような情報は、一つも見つからなかった。

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