悪魔なキミと愛契約【番外編】
「俺の名は、フラン。
魔界の王子だ」
「……王子」
「いずれは、王になる」
柔らかな風が吹いた。
バラの甘い香りが、鼻をくすぐった。
「どうして、魔界の王子がウチの会社にいるんですか?」
「昔から、王族は必ず一度は人間界で仕事をし、人間学を学ぶという決まりがあった」
「……はぁ」
「魔界よりも遥かに技術が進んでいるからな。
別に、人間との共存を求めているわけではないが、人間の能力は、本当に素晴らしい」
別に、難しい話をしているわけではないと思うけど。
やっぱり頭は混乱して、なかなか理解できなかった。
「人間界へ行けるのは王族のみ。下級悪魔は禁止されている」
「どうしてですか?」
「下級悪魔は、教養のない奴らばかりだ。
そんな奴らが人間界へ行けば、すぐに人間を殺してしまう」
「こ、ころ……ッ!?」
ズザっと。
課長から一歩離れた。
すると、課長は私を見下ろしフンと短く笑った。
「心配するな。
俺はなにもしない」
「そ、そうですか……」
不安を少し残しながら、また課長の隣に戻る。
サラサラと揺れるバラの花。
見ているだけで、幸せな気持ちになった。