悪魔なキミと愛契約【番外編】
俯いた顔を、パっと上げる。
それは、どういう意味ですか?
黒羽課長。
「この会社で唯一、キミだけが俺の傍に寄ってこなかった」
「……え?」
「他の女は毎日毎日用もないのに俺に付きまとい、媚を売りに来る」
「………」
「キミだけだったんだよ。
俺のことを見ていなかったのは」
課長はそう言って、私を見上げた。
デスクのライトで、課長の顔がより穏やかに見えた。
「だから、キミの名前を覚えた。
俺に興味のない女性社員、吉井チヅル」
「べ、別に興味がなかったわけじゃありません。
課長の名前はここに異動してきたときから有名だったけど、同じ会社にいるのに部署が違うし、ただ話す機会がなかっただけです!!」