俺様婚約者~お見合いからの始まり~
私は、悲しさと情けなさで涙が込み上げてきた。

ポロリと一滴落ちると、それは後から後から、止めどなく溢れてきた。

悠斗の姿が滲んでぼやける。

私には彼を引き留める権利もない。

やがて彼が上着を着てこちらを向いた。

私の顔を見てギョッとしている。

何かを言おうとして、やめたみたい。

いいよ、このまま帰って。

そう思ったけれど、伝わらない。

彼が隣の部屋から毛布を持ってきた。

上半身を露にした私の上にそっと掛ける。

優しくしないで、私なんて。

また涙がどっと溢れてきた。

「…あ、…あの…、っく…」

私の隣のソファーに座る彼に声をかける。


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