俺様婚約者~お見合いからの始まり~
私は動けずにそのまま固まっていた。

悠斗は向こう側のソファーにドカッと座ると煙草に火を点けた。

チラリと彼の方を向く。

窓の外を眺めながら煙草を吸っている。

私は…、私は、彼を裏切る行為をしてしまったんだわ。

もし、これが逆なら、私も怒るだろう。まあ、悠斗が合コンなんてあり得ないけれど。

指輪をしていないのも、婚約を隠す為だと思ってる…?

そ、それは違うわ、…後ろめたかったのよ。隠す為じゃないわ。

大切だから…、ああいうところには、ふさわしくないって思ったのよ。

しばらく悠斗の横顔を寝そべったままの姿勢で見詰めていると、彼は立ち上がりネクタイを締め始めた。

「……!」

え…?帰るの…?

彼は無言で着々と身支度を整えている。



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