俺様婚約者~お見合いからの始まり~
「好きだって言ったら…、許してやるよ」

…やめて、これ以上、煽らないで。

思いが溢れて止まらなくなる…。

私は唇をカタカタ震わせながら彼を見詰めた。

言葉にならない。

「…百合子?」

彼が促す様に私を呼びながらニヤリと笑っている。

その意地悪な笑顔さえも愛しく思う。

自分で自分が…信じられない…。

「……好きよ…、悠斗…。……行かないで」

…あなたを離したくない。

私は必死だった。

短い言葉に思いを込める。

「…よし。いい子だ」

悠斗は私の髪を優しく撫でると今度はふわりと笑った。



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