俺様婚約者~お見合いからの始まり~
「百合子!!百合子、開けなさいっ!」
…外はもう夜の闇で真っ暗になっている。
「…はぁ…」
開け放した窓から月を見上げながら深いため息をつく。
先ほどから帰ってきた母が部屋のドアを力任せに叩きながら開けろと騒いでいる。
「百合子っ!閉じ籠って隠れてないで出てきなさい!きちんと説明してちょうだい!!」
ドンドン、ドンドン!
…うるさいなあ。
そうね、いつまでもこのままいられないわ。
お母さんにアイツの本性を話さないと。
よしっ…!
気合いを入れて立ち上がる。