俺様婚約者~お見合いからの始まり~
悠斗はくるりと向こうを向くと、少し離れた場所に停めてある車に向かって歩き出した。

「悠斗…!」

呼び掛けに彼は振り返らない。

その時、背中をポンッと叩かれた。

「行けよ。…好きなんだろ」

「誠司…」

誠司が微かな笑顔で言った。

「…まあ、俺はあんまり好きなタイプの男じゃないけど、……幸せにはしてくれるかもな。

でも、後で俺にしとけば良かったって、後悔するぞ」

そう言ってニッと笑う彼に舌をペロッと出す。

「後悔なんて、しません」

そう言って悠斗を追いかける。

少し進んで立ち止まり振り返った。

「誠司!ありがと!!」

「おう」

彼は軽く手を振って駅の方向に歩き出した。


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