俺様婚約者~お見合いからの始まり~
私はとっさに悠斗の車の前に飛び出した。

「わっ!!百合子!!危なっ……」

キキキキッッ―――

耳をつんざく様なブレーキ音が響いて車は少し斜めに止まった。

私は体を丸めて屈み込んでいた。

バンッ!

車のドアを閉める音がしてツカツカと足音が近付いてくる。

…そっと顔を上げると驚いて硬直した悠斗が私を見下ろしていた。

「………」

腰が抜けて何も言えない私の横に彼はガクッと膝を付いた。

「…百合…、何をして…」

その直後、倒れ込む様に私を抱き締めてくる。

「…悠…斗…」



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