俺様婚約者~お見合いからの始まり~
開け放した窓からそよそよと気持ちの良い風が吹き込んでカーテンを微かに揺らしている。

その隣で窓の外に向かって悠斗がバイオリンを弾いていた。

…綺麗…。
…音も、その風景も、差し込んでいる柔らかな光も…。

風や光と音遊びをしているみたい。

…しかも、…この音…。

素人の私でも、何となく感じる。
趣味の域じゃないわね…。

深く…、かつ、細い絹糸の様な、心に染み渡る澄み切った音…。

私は風に髪を揺らしながら演奏する彼を見ながら、何故か涙がパラパラと溢れてきていた。




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