俺様婚約者~お見合いからの始まり~
彼女の横をすれ違う時に、私の行く手を阻まない様に彼女がスッと脇に逸れた。

満面の笑顔で。

……。

悠斗は俯いたまま、私を引き留める訳でもなくじっとしている。

そんな彼の真横を通り過ぎ、部屋を出ようとドアに手をかけた時、私の虚ろな瞳から涙がどっと溢れてきた。

今更、泣いたって…どうしようもないのに。

前がぼやけて見えない…。

だけど、立ち止まる訳にはいかないわ。

それは微かに残った最後のプライドだった。


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