俺様婚約者~お見合いからの始まり~
「ど…、どうしたの…」

「百合子…」

彼は側に近付いた私の手を素早く引っ張りつけると、私を身体ごと自分の胸に納めた。

そのまま私の背中に両手を回して抱き締めてくる。

「…え…、あの…」

「…どこに行くんだ…」

私の肩に顔を埋めてくぐもった声で悠斗が尋ねてくる。

「え…、私…、喉が渇いて…」

「…逃げ出したのかと…思った。
俺を…、独りにするな」

彼の声が微かに震えてる…。

どうしたの…?まるで子供みたい…。



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