俺様婚約者~お見合いからの始まり~
昨晩も彼は、早く休んだ方がいい、と言う私を甘く誘い、長い時間をかけて私を愛した。

だから結局、三時間ほどしか眠れなかったのだ。

だけど、さすがに今日は本番とあって私はパチリと目が開いた。

素肌にシーツを巻き付けたまま、喉を潤そうとベッド脇から寝室の扉まで移動した時、突然、悠斗がガバッと身体を起こした。

「……きゃっ…!」

私は驚いて思わず奇妙な声を上げてしまった。

「百合子っ!!」

悠斗は青ざめた表情でベッドの自分の隣の空いた場所を見ている。

「ゆ…、悠斗…?」

おずおずと近付いて悠斗を呼んだ私を、彼は振り返って険しい顔で見た。




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