俺様婚約者~お見合いからの始まり~
澤乃井社長は軽く片目を瞑りふわりと微笑む。

…うわ、似てる…。

悠斗の大きな瞳や仕草と、父親とのそれが一枚の絵の様に重なる。

「あの…、悠斗さんのバイオリン、この前聴かせていただきました。」

私の突然の発言に父親二人は驚いてこちらを見た。

「…え…?
悠斗が…、楽器を弾いたのかい?」

澤乃井社長は目を見開いて尋ねてくる。

「…え…?…ええ。
私、知らなかったので、驚いてしまって。」

何故そんなに驚くのだろう…?

私、何かいけない事を言ったのかしら…?

………?

「そうか…。
あの子が…バイオリンを…。

百合子さん、あなたが、悠斗を変えたんでしょうね…」

「…え?私、意味がよく…」

「いや、…いいんだ、分からなくても。

そうか…。

百合子さん、悠斗をどうか、よろしくお願いします」

澤乃井社長はそう言って身体を折り曲げて、私に頭を下げた。

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