俺様婚約者~お見合いからの始まり~
パタン。

花嫁の控え室から扉が五つほど離れた、花婿の控え室に入るや否や、悠斗は私を強く抱き締めてきた。

「だ、…駄目よ、口紅が付いてしまうわ」

とっさに顔を背けて彼に顔を触れない様にしながら訴える。

お互いに純白の衣装を身に纏っているため、いつもの様に触れ合ってしまうと大変な事になる。

悠斗は私の顔をじっと見て、はあ、とため息をつく。

「キスは…出来ないな」

私の紅い口紅が滲んで、さらに彼の唇を紅くしてしまう事に気付いた様だ。

「…どうしたの…?
お父さん達に、失礼だよ」

私は先ほどの彼の行動について批判がましく言った。

「…百合子が…、他の男を見るから…」

…は?他の男…?

…お父さん達でしょ…っ!


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