俺様婚約者~お見合いからの始まり~
「澤乃井様、お待ち下さい」

入口の方から支配人の声が聞こえる。

そちらを見ると悠斗がサロンを出て行こうとしているところだった。

支配人さんが必死で引き止めている。

「悠斗っ!」

私は高橋くんの手を振り払ってドレスの裾を持ち上げると悠斗の方へ向かって駆け出そうとした。

「あっ…!」

すると裾を踏んでその場に倒れる様に転がった。

「百合子!大丈夫か!」

高橋くんが隣から声をかけてくれる。

自分の醜態と状況に泣きたい気持ちになる。

どうして…。

そう思いながらうずくまっていると目の前に黒い革靴が見えた。

はっとして顔を上げるとまたしても不機嫌な表情の悠斗が私を見下ろしている。

< 59 / 314 >

この作品をシェア

pagetop