俺様婚約者~お見合いからの始まり~
いけない…、飲み込まれる…っ。

息苦しさに思わず吐息が声になる。

「…んっ……!」

それを聞いて悠斗は名残惜しそうに静かに唇を離した。

無言で私をじっと見下ろしている。

私も朦朧としながら彼の黒い瞳を見上げていた。

「…百合子…」

彼は私の名前を小さな声で呟くと私の首筋に唇を這わせてきた。

えっ…?ちょっと待って…!

…ここで…?

なんて思っているうちに、彼の唇の動きに合わせて背中がゾクゾクしてくる。

「ゆ…悠斗…」

私の呼び掛けに彼がゆっくりと顔を上げる。

「…痕…付いちゃった…」

彼はそう言いながら、ひんやりとした指先で私の首筋の、たった今口づけられたところをなぞった。

瞳と睫毛を微かに揺らしながら艶やかな視線を私に向けてくる。





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