俺様婚約者~お見合いからの始まり~
ん…?わかってた?

じゃあ、さっきの切なげな眼差しは…。

はっ!…またしても、やられた?

「あなたねぇ、私が単純だからって…」

ブツブツ言い始めた私に素早く彼の唇が重なる。

「……!」

それは軽く触れてゆっくりと離れる。

そして綺麗で優しげな彼の笑顔が私の目の前にあった。

「………。」

何を怒っていたのか、分からなくなってきた。

………。

「して…ほしかったんだろ?

……まだ、足りない…?」

耳もとで吐息まじりに囁かれ頭の芯がボーッとしてくる。

…はっ!!、いけない、またしても囚われかけてる。

「こ、…子供は、相手にしないんでしょっ。
菜緒子さんに頼みなさいよ」

精一杯の虚勢。

だけど彼には通用しない。

しかし、私って相当のヤキモチ焼きだったのね…。

だって、あの人の、あの小バカにした様な視線が忘れられないんだもの。





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