勘違いしないでよっ
あたしは父の
“嫌いな人の子供”なのに
優しく、愛を持って
あたしを育ててくれている。
自分の父ながら、
頭が下がる程誠実で
こんなに出来た人なのに、
不満を抱いた母は贅沢者だと思う。
こんなに素晴らしい人を捨てて
他の人を選んだんだから。
「はい、召し上がれ。」
父はまた、笑いながら言って
あたしの前にご飯を出してくれた。
「美味しそう!いただきます」
あたしは目の前の
男の人が作ったと思えない
完璧な料理に手を合わせて
すぐさま頬張る。
「どう?時間たっちゃってるから…」
と、心配そうに尋ねる父だが
父の料理は
変な定食屋のご飯より美味しい。
「美味しいよ、すっごく」
あたしは正直に言う。
父の言葉を無視したことは無い。
「よかった」
父は笑顔を見せて、
換気扇の下で煙草に火を付けた。