それはたった一瞬の、


沙霧の言葉が尾を引いて消えていった頃、重大な疑問の微かな予兆が胸に宿った。


柊は、集められた子どもは4人だと言った。


臓器を機械にされ、異常な聴覚神経を持ち合わせた沙霧。

成長できない体になった釧奈。

虹色の眼球を持った柊。


それじゃあ…。

「あとひとりは、」

血液が逆流して噴き出してきそうな、気味の悪い感覚。

頭痛と耳鳴りが同時にやって来る。


柊の薄い微笑み。
この笑い方は、嘘つきの笑顔だ。


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