シャボンの国 -the land of soap bubbles-
二人は近い親戚で、だけれど国の為云々よりもお互いが愛し合い結婚に辿り着いたと言っても過言ではない。



もともと母の魔力はそんなに強い方でもなく、それ故に病気に侵されてしまったのだろう。



王族の血筋を絶やさない為、親戚だからという理由で結婚相手として選ばれる女性には魔力の強くない者も居ると聞くが、母もそうだったのかもしれない。




自分に婚約者という存在が出来ようともカイルは何も思わなかった。



会った事も無い親戚の女になど興味は無い。



ただ今は、母の事だけを思っていたい。



カイルとは違い、父はあれから仕事に没頭する様になった。



それは王という立場故か、もしくはそうする事で母の事を少しでも気を紛らわせようとしているのか。



それすらもカイルの心を動かす疑問にはならなかったけれど。

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