シャボンの国 -the land of soap bubbles-
こんな風に別れを惜しんでしまうなら、その所為で足止めを食らわせてしまうのなら自分はずっと孤独なままの方が良かったのではないか、とすら花音は思う。



孤独なままなら、誰かとの別れを惜しむ必要など無いのだから。



だが結果として花音はカイルとの時間を過ごしてしまった。



その温かさは花音が抜け出そうとするには酷く困難なぐらいに心地良いものだろう。



そして。



時間が経てば経つ程にそこから抜け出せなくなる事も花音にはわかっている。



わかってはいるのに。



抜け出す事が出来ない。
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