シャボンの国 -the land of soap bubbles-
「…花音、悪かったな」



申し訳なさそうにこちらを見るカイルに花音は首を傾げながら訊ねる。




「悪かったって何が?」



「…雨降ってる中、しばらく空に居たから。それで体冷えたんだろ?」




まるで怒られた子供みたいに眉を下げてそう零すカイルに花音は微笑んで言葉を落とした。




「謝んないでよ。私だって夢中になって見てたんだから。それに私もごめんね」




花音の言葉に今度はカイルが首を傾げる番だった。




「せっかくバイト休めたのにごめん。一緒に何かする事も出来ないし、ご飯もちょっと作れそうにないや。苺大福も買いに行けなくてごめんね」




僅かに目を見開いたカイルの顔がゆっくりと歪むのがわかって。



花音はどこか冷静な頭で、そんな顔も綺麗だなぁ、なんて思ってしまう。
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