シャボンの国 -the land of soap bubbles-
焦っていた、なんて言い訳にしか過ぎない。



暑さの所為で苛立っていた、というのも。



言い過ぎた、と自分ですぐに気付いたし後悔にも襲われた。



だが、言ってしまった事はもう取り消す事など出来ないのだ。




一瞬、見開いたカイルの目。




だが、それはすぐに口元に薄い笑みを貼り付けた。





「へぇ、そうかよ。だったらさっさと願い事すればいいじゃん。俺だってこんな気候変動の激しい世界なんてごめんだっつの」






こんなつもりじゃなかったのに。



中々口にする事は出来ないけれど、もし願い事を言う日がくればその時は「今までありがとう」という意味も込めて笑顔で口にしようと思っていたのに。



だけど、今の状況はあまりにも花音が願い事を口にするにはもってこいの状況。



中々勇気が出せない花音には、こうしたきっかけでもないと、きっといつまで経っても口にする事など出来ないのだから。
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