恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~
「葵とはそういうんじゃない! おれはただ……今日、おれが石垣島に行って来よったんはさ――」


「あのさっ、海斗」


食い気味に口を挟んだのは、焦ったからだった。


「うぬぼれないで」


海斗が言った事に対しての自分の気持ちを否定したかった。


もし、例えそうだったとしても。


認めたく、なかった。


「ばかじゃないの? うぬぼれないで」


「うぬぼれぇー? イミクジ分からん! 葵は本当にさっき――」


「るっさいなあ!」


聞きたくない。


あの子の名前なんか聞きたくない。


まして、海斗の口から聞くのがたまらなく嫌だと思った。


「勘違いしてんのはそっちでしょ!」


振り向き、海斗を睨んだ。


「勘違いしてんのは海斗じゃん!」


「何かあ!」


海斗も負けじとあたしを睨み返してくる。


別に、その強烈な瞳に尻込みしたわけでも、脅えたわけでもない。


だけど、なぜだか手が小刻みに震えだした。


「にぃにぃ、やめてよ! ねぇねぇとケンカしないで!」


うわん、と泣きだした美波ちゃんに、


「美波! やぁ、おばあのことに行っとれ! いいね!」


と海斗が大きな声を出して裏のおばあの家の方向を指さす。


「にぃにぃー」


「いいね! にぃにぃが迎えに行くからさ! 早く行け!」


「にぃにぃ、ねぇねぇはさ」


「美波!」


まるで怒鳴るように言われて、美波ちゃんは泣きながら裏のおばあの家に向かって駆けて行った。


美波ちゃんの足音は次第に小さくなり、もう、聞こえなくなった。


「美波ちゃんにあんな言い方しなくてもいいじゃん!」


「美波がおったら話ができないからさ!」


「でも、あの言い方はないじゃん!」


「陽妃が訳の分からんこと言いよるから!」


「訳分かんないのはそっちじゃん!」
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