恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~
べらべらと語り続けていると、電話越しにクスクス笑い声がして、ようやく我に返った。


「あ、ごめんね、真衣。あたしばっか」


『いいよいいよ。なんか、楽しそうで羨ましいよ。そっちの生活』


「本当にごめん」


『いいって! 元気な声聞けて安心したし』


「ああ……うん」


その時、不意に浮かんだのはなぜか海斗の顔だった。


あたしが元気に話せているのは、きっと、海斗のおかげなんだと思う。


少し沈黙が続いたあと、少し声のトーンを下げて話し出したのは真衣だった。


『あのね、陽妃。久しぶりの電話でこんなこと言おうかすごく迷ったんだけど』


真衣の声が暗くなった気がした。


「なに?」


『あたしは、陽妃のこと大事な友達だと思ってるよ。だから、隠しておけなくて』


「どうしたの? 何かあった?」


二度目の沈黙は少し長かった。


『……最近、大我とちゃんと連絡取ってる?』


胸に鋭い何かがグサリと突き刺さった。


「……あ」


すぐには言葉が出てこなかった。


『陽妃?』


「……あの……とってない」


つまりながら言うと、向こうから『やっぱり』とため息が聞こえた。


真衣にはまだ言っていなかった。


大我と別れてしまったこと。


この際だから言ってしまおうと意を決した時、先に真衣が話し出した。


『なんか……ひかりと大我が、付き合い出したみたいなんだよね』

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