隣の人形
目を覚ました。

保健室である。

「おはよ」
・・・・・・。
声の主はお面をつけていた。
なんというか、縦ロールにお面とはシュールである。


「誰」
まあ、問わなくても分かるが。

「転校生よ。さっきは、悪かったわ」


「なんでお面を?」
「あんたが、私の顔を見て発狂したからよ」
「・・・」
「これからは、このお面かぶるから」
「なんで!?」
「だ、気にいったからよ!」


気にいったらしい。
他の生徒や先生にはには、人見知りがどうとか、話していた。
それで通る意味がわからない。



「なあ」
「何」
「俺、目さえ合わせなきゃ怖くないから」
「知ってる」
知ってるんかい。

俺が、人形の目を異常に恐れるわけを、転校生は聞かなかった。
だから、転校生がどうして人間になったのか、
何がしたくて人間になったのか、俺も聞かないことにした。


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