泣き顔にサヨナラのキス
原口係長が困ったように口を開く。
「ビールは無いけど、バーボンならある。それで我慢しろ」
そう言って、立ち上がった原口係長は少し眠そうにも見えた。
あたし、原口係長に迷惑掛けてるよね。
だけど、家に戻って一人になったら……。
あたしは孝太の家にまで、押し掛けてしまいそうだ。
それだけは、どうしても避けたかった。
だから……ごめんなさい。
今日だけ、迷惑は百も承知で甘えさせて下さい。
心の中で、頭を下げた。
結局あたしは、自分の弱さに負けてしまった。