泣き顔にサヨナラのキス
氷とお水、バーボンとグラスが二つテーブルに並べられる。
「悪いけど、つまみは何も無かった」
あたしの横に、距離を置いて座り直した原口係長は、部屋に戻って初めてタバコに火をつけた。
原口係長がふーっと吐き出す煙を目で追った。
「……原口係長、浮気したことあります?」
「唐突だな、お前は」
「ありますか?」
「ん~あるよ。何回も」だけど、見方を変えれば、してないことになるのかなぁ」
掴み所がない答えだと想った。