泣き顔にサヨナラのキス
     

のっそりと、ベッドに上がると、そのまま引き倒されて。


あたしは原口係長の腕の中にすっぽりと収まった。


「ちょっと」


「少し、黙って……」


「…………」


「…………」



暫くすると、背後から聞こえてくる、規則正しい寝息。


原口係長は本当に疲れていたみたいで、あたしを腕に抱いたまま眠ってしまった。


そして、あたしもいつの間にか、浅い眠りについていた。




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