泣き顔にサヨナラのキス


数日後、ある程度出来た資料を原口係長に見てもらっていた。


「ふぅん、お前さ」


指先でペラペラと資料を捲っていく。


「な、何でしょうか?」


「バランス悪っ。センス無いよな」


「はぁ……」


「何をアピールしたいのかわかりにくい。取りあえずそこ修正しろ」


「はぁ」


「何だよ、その気のない返事は」


原口係長の眼鏡の奥の鋭い瞳が怖かった。


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