泣き顔にサヨナラのキス
「すみません、ずっと、パソコンの画面を見ていたので、肩が凝り固まって」
首を軽く回すと、ボキボキと音が鳴った。
もう事務所には原口係長とあたしだけ。
孝太は直帰だった。
もう、ご飯食べたよね。
なんて、原口係長が隣に居るのに、修正をしながらそんな事を考えていた。
「おい、何してんだよ!置いて帰るぞ」
ふと時計を見ると、あれから一時間が過ぎていた。
「すみません、もう終わりますから」
原口係長に急かされて、慌ててパソコンの電源を落とす。
それからコートとバッグを持って、原口係長の後を追った。