泣き顔にサヨナラのキス
 

孝太がそんなことを考えていたなんて知らなかった。

少しずつ、心が温かくなっていくみたい。


「ワケわかんないよ」


「わかんないよね。でも、カナだって俺に連絡して来なかったでしょ?」


「孝太から連絡無いのに、自分から出来なくて」


「じゃ、週末誘ってくれないのは?」


それは、何度か週末の誘いを断わられて。そんなことが続いたら、誘うのが怖くなってしまった。


「孝太、いつも忙しそうだったから」


「たまたまなんだけどな。続けて予定が入ってたのは」

ため息混じりに、でもそれでいて優しく、孝太が微笑んだ。



< 440 / 614 >

この作品をシェア

pagetop